もう1つの社会、メタバース

CWB 奥谷京子

 メタバースという言葉を聞いたことがあるでしょうか。VR(バーチャル・リアリティ) =仮想空間のこと?すでに10代は使っている子たちも増えてきています。どこにいても制約を受けない、翻訳を使えば世界中の子たちとも友達になれます。

 この30年くらいの情報通信は飛躍的に変わりました。最初はポケベル、その後ケータイ電話で絵文字つきのメールが送信で、きるようになり、さらに写真や動画・スタンプを送るようになりましたよね。自分のスマホから簡単にグループでもテレビ電話ができるようになりました。でもまだ絵と文字が主流(カンボジア人は書くのが面倒なので声を録音して送信していますが)。それが立体的な世界に飛び込み、自分が主人公で動く3D変わっていきます。今までは東京の一等地にスペースを持たないと商品の認知度が上がらないと思われていたものでも、誰もが面積を考えずにいろんなものを紹介できる。そしてこのコロナが後押しをして、現地に行けなくても体感できるのがより大事になってきました。仮想空間を飛び回り、運動し、現実世界で飛行機や車での移動が少なくなればガソリンも減り、自分自身の消費カロリーも節約する省エネモードになっていくのかも? !でもまったく誰とも接点を持たないのはやはりつらいので、現実世界の中でカフェに行ってお友達とおしゃべりは続くのでしょうか…。その辺りも私もまだわかりません。

 またインターネットの世界も同時に変化しています。普及が始まった頃はマスコミの媒体がオンラインになったという形で発信中心(パブリッシャー)なのがWEB1、そして現在のアマゾンのようにそのサイトにたくさんお屈を集めて集客をして商品を提供するプラットフォームをイ乍るのがWEB2、そしてGAFAなどが顧客情報やマーケットデータの全てを牛耳るのはどうかと疑問を持ち始めたクリエーターたちが独立して新しい世界を作ろうとするのがWEB3。

 このメタバースの注目とWEB3の波が一気に押し寄せてきました。ここで、私たちは何をするか、です。私たちなりの仲間作りです。例えばですが、熊本県天草市で200ヘクタールの森をみんなで後世へ残していこうということで動き始めましたが、数名だけで何かできるような広さでは到底ありません。しかし、営利企業に売却されたらあっという聞に材木が伐採されてはげ山になり、植林して手入れするという循環を守れなくなると保水して土砂災害を防いだり二酸化炭素を吸収する森の役割をあっという聞に失います。市民である私たちがどうやってこれを守っていくか、こ
の問題意識を持った世界中の“アバター森人”と一緒に知恵を出し合って守っていこうというのが1つのアイディアです。

 今年初めから楠クリーン村のホームページでは“アパタ一村民”というページを作っており、私のほかに、カンボジアの住民やスペイン人や東京に住む創立時のメンバーなど、楠に住んでいない多様な人たちが執筆を楽しんで、います。必ずしも楠の話題だけではないですが、いろんな出入りが活気を生むんですよね(https://kousakutai.net/post/)。目の前にある世界でなくても、どこに住んでいても同じ趣味や問題意識を持った人たちが集まるもう1つの社会。次頁の築100年の吉田屋はアバター旅人に皆さんを誘います。