プンアジはダンスインターンで50人をネットワークへ

CWB 奥谷京子

今回は1週間のカンボジア滞在の中でいろんなことが変化していった。その中の1つがプンアジでの私の立ち位置である。

これまでは「先生」ということで、毎回お土産を人数分持って行って、みんなでバーベキューをして…と日本から来る時々やって来ては大盤振る舞いをして親交を深めてきたのだが、今回はコンポントムに行っても日程も短く、生徒に会ったのも議論の場に通訳で必要だったスレイマウさんとたまたまカフェに居合わせたリナさん、あとはミャンマーのチームでカフェを始めてヌエヌエさんとカシューナッツバターを持ってきたムーン君。餌をくれるから慕うサチをはじめ犬たちは全員で歓迎してくれたが…。

プンアジでは生徒たちと暮らしながら公立学校が終わった放課後や休日に一緒に働いて、その中からチームワークや仕事の段取りなどを学んでいくということで進めてきたのだが、どうも今の世の中にうまくクロスしていない。私個人としてはいくら勉強ができて知識があって学歴が良くても、段取りがわからなかったり、チームワークでコミュニケーションを図って物事を進められないのでは学校を卒業した後に社会に出た時に厳しいと思っているので、若い頃から仕事やイベントを企画してチャレンジするなど、いろんな経験を積むことは大事だと今でも思っている。

だが、世界の人権保護の目から勉強すべき学生の時から働くのは児童労働だと受け取られ、役所の人が見に来るようになる。このような観点からプンアジが目指していた「学校では学べないことを働きながら学ぶ」というやり方はカンボジアにおいてもしっくりこなくなってきた。

しかし、伝統舞踊を守り、力を入れたい―これは行政も国際的にも賛同を得て、地域の人もみんな願うところなのだ。私たちとずっと協力関係にあるMr. Diもコンポントム州のあまねく学校へ訪問し、伝統舞踊をやりたい担い手を発掘することに尽力している。彼はここ数年体調を崩して入院もしており、世代交代を意識していらっしゃり、今回は4月の公演にも来日したアツのお母さん役のヴァニーさんがずっと付き添ってくれた。今回合意したのは、プンアジを伝統舞踊の中心拠点として機能させるためにも毎週末50人の若者が来るように、彼らが学びに来るガソリン代もそして食事はヌエヌエさんから提供し、プンアジで小部屋にリフォームして遠い村から来た若者たちも男女分かれて少人数で泊まれるようにしている。

そしてクイの村にもMr. Diやヴァニーさんとも一緒に訪問し、若きリーダーの一人であるミエンさんにも会ってきた。クイからもたくさん若者がダンスを学びに来て、他の村の若者たちとも切磋琢磨して、インドネシアの次はフィリピンなども考えているが、日々練習をしてうまくなることが大事だと話した。ここは大いに期待したいところだ。

言葉がなくてもダンスを通してみんなが笑顔になるというのを前回の4月の公演でも実感したばかりだ。クメール舞踊の指先まで神経を使い、体幹を鍛えたしなやかな動きもまた素晴らしい。プンアジというカルチャーセンターに集い、ここがクメール舞踊をみんなが練習できる場所としてコンポントム州だけでなく、カンボジア全土に知れ渡るようになれたらと思っている。