団体であっても客とエージェントの関係性にならないツーリズムに

CWB 奥谷京子

 コロナの数年を除いて、これまで6,7年にわたって大学生のゼミ旅行をプンアジでも受け入れてきたのですが、ツアー料金を預かってその予算範囲内ですべてアレンジするという従来の旅行会社のスタイルで予定も組み、やってきました。

 今年は國學院大學の学生男女12名を受け入れることになり、6月ごろから準備に入っています。ツーリズムに興味のあるプンアジの学生に自立してもらうべく、その子をコンダクターとして私が計画した全日程を引率してもらうというスタイルを当初は考えていました。そこにはみんなで少数民族の村に泊まるなども計画していましたが、去年それでいろいろありました。初めての経験の学生たちは勝手がわからないのも仕方ないのですが、村人とのギャップがいろいろありました。まずはちょっと虫が飛んできただけでダメで泣く子もいる。そしてトイレと風呂が兼用で裸足で入ることも抵抗感がある。さらにはそのバスルームに貯めてある水で水浴びもするのだがそれがわからず大量にペットボトルの水を買い込んで水着を着て外で髪の毛を洗っていたらしいのです。飲むためのきれいな水で洗うなんて…おそらくこれは村人にとっては奇異な理解できない行動だと思います。また10数名の外国人がまとめていくと、インパクトが強すぎて地域の有力者まで動いてしまう始末。そんなことから今年は2コースに分かれ、本当に地域に入って勉強したい学生だけが手を挙げて宿泊し、そうじゃない人は街中のホテルで2泊滞在というものに変えました。

 そしてツーリズムとしてまとめてお金をいただくのではなく、それぞれにプンアジの生徒が活躍したことに関してそれぞれに出すという方式に変え、それぞれの担当が活躍し、その分対価としてお金をもらうというのを明確にしました。現在スレイマウは自分の日本語を磨くためにもサンボープレイクック遺跡の案内を日本語で行うために私と時間を作って練習しています。ダンスもいいものを披露して15ドルをいただく。カシューナッツスムージーを出したらその分をいただく。そうやってそれぞれがやるべきことを理解して、その分頑張るし、それに見合うかどうかを日本の学生にも払った時点で評価してほしいと考えています。

 さらにお互いの事情の中から無理をしない。例えば当初予定していたダンスと共にお料理を出すことについては、ミャンマーから逃げてきた女子二人が残念ながらプンアジをやめたのでこちらから提供することをやめました。しかし、日本の学生が日本食を披露するということでダンスが終わった後にカンボジアの若者に海苔巻きをふるまう予定です。ただプログラムに乗っかって見学だけではなく、現地の若者に日本側からも提供しようと、このような形になりました。

 海外初という学生もいる中で引率する井門先生も大変だと思いますが、ツーリズムも時代のシフトに合わせて変化するタイミングとしてとらえ、アレンジしたツアーを消費するから、時間と手間はかかりますが、来る前から連絡を取り合って作り上げ、本人たちができることで現地の若者と交流したり、お金を自分たちで管理して自分たちで支払うという主体的な取り組みを経験することが海外に行っても自分は何かができるという発見につながるのではないかと思い、準備を進めています。「一緒に作るカンボジアの旅」はいつでも受け付けております。どんな日程で何がしたいかをぜひお知らせください。